No.08 陰影の詳細を描く
01 立体感の表現
 

 第7章までに、キャラクタのメカ部の簡単な陰影描画作業が完了しています。遠目にみると結構サマになっているんですが、近くで見るとこれがまたいいかげんなのは良く分かります。
 個人的にこう、「細かい、しかし重要である」こういった個々の陰影描画ってのが凄く好きでして、時間がかけられればかけられただけ作業に没頭していたりするんですが、まぁ無限に時間があるわけではないので、ここでは要点をまとめて描いていきたいと思います。
 まずその前に、パーツを塗りこむときに消滅してしまった(笑)中心線を復活させて起きましょう。 中心線はパスで描かれていますから、こーゆーときにはすぐに復活できて便利です。 ・・・ていうか、どうせ消えることが分かっているんなら今ここで中心線を描けばいいじゃないかとお思いになるかもしれません。 いやそれはごもっともなんですが、私の場合どうも中心線が入っていないとパスを取るときに微妙〜にずれてしまう傾向がありますので、まぁ・・・個人的な対策の賜物とでもしておきます。
 さて、中心線を描くわけですが、このパス、マスタラインというパスの中に含まれてしまっています、説明した方法(詳細で描画を行うと、描かれたすべてのパーツが描画されてしまうことになります。今回必要なのは中心線の部分だけですので、ここでは特定のパスを描画する手順を簡単に説明しておきます。
 パスの中から特定のパーツを選択するには「」パス選択ツールを用います。(詳細 パス選択ツールでは、ドラッグ&ドロップで指定した選択範囲内に含まれる線分が選択されたパスとして指定される(指定されたパスは、アンカーポイントが表示されます)ので、後は「パスの境界線を描く(詳細」機能を用いてラインを作成するだけです。






1:足の接合部分を描く


 それでは先ず、左前脚から作業に入りましょうか。 パスの境界線を描いて単純に切り分けしただけの状態が左図になります。遠目で見ていると気にならなくても、これだけ拡大するといろいろおかしいところがありますよね。色が食い込んでいたり、立体感が出ていなかったりと。まずこういったところの修正から入っていくことにします。
 基本的に「透明部分の保護(詳細」がレイヤーには施されていますので、ラインそのものを変更するときにはこの機能をOFFに、実際に描画するときにはONにして作業をしていくことになります。



 パーツの中で変に食い込んでいる部分などを、ブラシツール「」を用いて修正します。
 この場合のブラシは筆圧感知入力はすべて動作しないようにしています。



 修正が完了したら、エッジの部分を際立たせるため、その部分をエアブラシツール「」と覆い焼きツール「」で表現します。ここで用いるカラーは、色見本に登録した(詳細色を使います。陰影を付けたときと同じカラーで彩色をすることで、全体の色の統一感を図るわけです。 最初に指定した光の入射位置(詳細にあわせて覆い焼きツールで色を抜いていくと、比較的簡単にエッジを際立たせることができるようになります。



 同様にして、体との接合部分にも、
エアブラシツール「」と
覆い焼きツール「」で陰影を付けていきます。また、パーツのエッジ部分の丸みを表現するために、覆い焼きツールを用いて、全体的に若干光の成分を追加しています。



 後に中心線もカラーを変えていきますが、その前にパーツの部分の調整を行います。中心線があるということは、そこがパーツの接合部になりますから、パーツ本体としては見えていない(隣のパーツが接合されていますからね)だけでエッジが存在しているわけです。というわけでエッジは描きませんが、上の段で描いた接合部付近のパーツの丸みを表現するため、若干覆い焼きツール「」で光を追加していきます。
 あとは全体的に調整して、この部分は完成ですね。




2:足の間接を描く


 続いて、足関節の部分の描画を行います。 これも全然立体的に見えないですよね。 単純に関節の部分を消しゴムツール「」で削除した(詳細だけですからまぁ、当然といえば当然なんですが。この部分もちょこっと手を加えるだけでかなり綺麗に表現できるようになります。



 というわけで最初は足の接合部の時と同様、エッジの部分をブラシツール「」を用いて修正していきます。この辺はもう慣れですから特に何も考えていませんが、今回の絵はカメラが上のほうにありますので、間接の下側のエッジが見えることになります。したがって上側のエッジは作成しません。



 作成したエッジに基づいてエアブラシツール「」と覆い焼きツール「」で陰影を付けていきます。間接の上の部分はエッジは見えませんがエッジちかくの丸みを表現するために覆い焼きツールでその辺を表現しています。



 さて、今ひとつ立体感が欠けて見えるのは、消しゴムツール「」で単純に間接が作成されているからに他なりません。ですからパーツの反対側の部分をブラシツール「」で盛り土(笑)して形を整えてみることにします。結構些細なことなんですがこれで一気に立体感、出たような気がしません?
 ついでにエアブラシツール「」と覆い焼きツール「」でさらに若干の調整を加えたのが左図になります。



 後ろ足(手前)も前脚と同様に作業していくことになりますね。 エアブラシツール「」と覆い焼きツール「」でエッジを編集、ブラシツール「」で盛り土をして調整しています。



 同様にして後ろ足(奥)も編集します。 こういった作業は面白くていいですね。 全然関係ない話ですが、作業の中で一番好きな部類に入るのはこの辺です。 パスで描いたパーツを切り分けたりしているのはただ面倒な機械作業に過ぎませんから。 瞳を入れることによってキャラクターに命が吹き込まれるのと同様、こういった立体に見えるような処理をすることで、私はメカに命を吹き込んでいるのだと思っています。



 最後に前脚(手前)の接合部分を描画します。この部分が他の部分と異なるのは、間接の上部と下部の両方にエッジをの部分を描いているというところでしょうか。このへんはキャラクターの設定如何ですので必ず奏しないといけないというわけでは決して無いですが、上部のエッジが完全に90度で切り込まれていないので、カメラが上にあっても若干エッジが見えてしまうと、そーゆーことです。




3:中心線を編集する


 中心線の編集はもこれまでどおり、エアブラシツール「」と覆い焼きツール「」で行います。最初に透明部分の保護(詳細を行い、色がもれないようにすることを忘れないことが肝心です。 実はこの作業のときにやってしまいましたので、私(笑) 中心線程度だったらまだすぐにパスから変換すればよいのでたいした労力にはなりませんが、描きこまれたパーツを編集するときに、透明部分の保護をし忘れた状態で塗ってしまうともう、最悪です。 Photoshop4にはマルチプルアンドゥがありませんから(Photoshop5 / 5.5 / 6 / LE(一般販売用)にはついてます)失敗すると大変なことになりかねません。
 エアブラシで彩色する場合などは、常に描く前にチェックをすることをお勧めします。

 とまぁ、ちょっと話がそれましたが、透明部分を保護した状態で中心線を描いていきます。 光のあたっている方向を覆い焼きで、反対側をエアブラシで編集することでリアリティが増します。 線そのものがかなり細いのでなかなか根気の要る作業ですが、完成すると上図(もしくは左図)のようになります。







キャプチャした画像は Adobe Photoshop4.01 のものです

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