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CGに限らず創作物であれば多かれ少なかれあることだと思うのですが、作業の間隔があいてしまうと、そのブランクの後でぱっと見たときに、作品の粗が見つかってしまうことはままあります。
今回のこの講座、9章まで製作した後、小用でしばらくの間作業を進めることができない事情ができてしまったわけですが、それが終わって作品を見ると、あれま、結構粗が発見されてしまったりしたわけです。 普段ならば誰にも知られずこっそりとさっぱり変えてしまって知らぬ存ぜぬで済ませられるわけですが、今回は講座仕立てになっているのでその手も使えず、かといって一度気になり始めるととめどなく気になってキリが無くなってしまう性格ですので、ここではパーツを修正するという大義名分の元、変だなと思う部分をちゃっかり直してしまうことにしました。
さて、一般的に「完了した部分を修正する」ということは、新規で作成するのと同等かそれ以上の労力が必要になるといわれています。 音楽しかり、小説しかりですが、こと絵に関してはこれが如実に現れる部分であると思います。 筆と絵の具を用いて描いた作品を途中で修繕するのは非常に骨の折れる仕事であり、また、完全に修繕することはほぼ不可能であるといっても過言ではないでしょう。 これは当然CGの世界でもある程度はありますがしかし、CGがこういった筆と絵の具を用いた物理的な色塗りと異なる点はやはり、その特性上、修繕をする手段が存在するということでしょう。
今回の絵は沢山のレイヤーを用いて描画していますから、先ず、修繕部以外のレイヤーには影響が無いという利点があります。また、今回の絵はパスを主に用いていますから、ラインを修正するのが比較的容易であるという点も、修復しやすい理由といえるでしょう。
ただ、どんなにこういった修繕に対して有利な条件があっても、修繕するレイヤーのパーツは基本的に1から作成しなおししなくてはならないという意味では、煩雑な作業であることに変わりはありません。 願わくば何年経っても満足の行く作品を仕上げていきたいものですね。
まず、マスタラインを修正して描画しますから、パスの修正作業から入ることになります。 修繕前の状態に戻すことができるように、パスのラインを複製(詳細)してバックアップしておきます。 修復は、複製作業によって作成された「マスタライン コピー」を用いて行うことにします。
今回は、脚のラインの修正を行います。 パスで描かれたラインを修正するために、作られたアンカーポイントを左図のように変更(詳細)し、そのラインのみを境界線を描けるように、修正部分のみを選択(詳細)します。
選択された部分を、これまではブラシツール「」で描いていましたが、今回は消しゴムツール「」を用いますので、ツールを消しゴムに変更した後、パスの境界線を描きます(詳細)。 尚、左図で作業しているレイヤーは「濃色部 奥」ですが、作業を行えるようにするために、事前に透明部分の保護(詳細)のチェックをはずしてあります。 消しゴムを用いてラインを描いた状態が、左図ですね。
パスの線上にラインが消去されているので、消された部分から尾のレイヤーの一部が顔を覗かせているのが分かると思います。
修正したい部分とそうでない部分の境界線を消しゴムツール「」で描きましたから、今度はその消す部分の残りを、消しゴムツールで完全に削除してしまいます。こうすると左図のようになって修正個所の部分の色を完全に抜くことが完了します。
今回の場合、修正するレイヤー「濃色部 奥」「淡色部 奥」の2枚のうち、上位にいるレイヤーが「濃色部 奥」ですので、単純に「淡色部 奥」レイヤーに追加部分を描いても、「濃色部 奥」のレイヤーの上に色が配置さている限り、描画することができません。したがって、先ず最初に「濃色部 奥」のレイヤーの色の部分を消去して「淡色部 奥」を描けるように準備したわけですが、逆の場合(仮に今回、濃色部の色を追加する)のであれば、そのまま「濃色部 奥」のレイヤーに追加していけばよいということになります。
さて、色を抜いた部分を補完するために「淡色部 奥」に色を追加していく作業を行います。 背景がチェッカー模様になっているのは、「背景」レイヤーを非表示にしているからですので大意はありません。作業効率を上げるために、「淡色部 奥」が白に近い色相を使っているため、背景を見えないようにしたというわけですね。 色を補完するにはブラシツール「」を用いることになります。
補完部分を埋めたわけですが、上図では、もともとあった部分と修正した部分の色の相違がくっきりとわかります。 かたや陰影をつけた状態、かたや塗りつぶしをした状態なわけですから当然といえば当然なんですが、ではこれをどのように修正するか、残念ながらこれは、1から塗り直しする以外に方法はありません。補完する部分が少なければなんとかごまかしは効きますけど、今回のように広範囲になると、どう修正してもぎこちなさが残ってしまいますので。 というわけで、「第7章」でずっと行ってきた手順を再生して、エアブラシツール「」と、覆い焼きツール「」で陰影を作り直ししていきます。 左図はそれが完了した状態です。
同様の手順を用いて、接合部分やその他の部分の修正を行っていきます。 基本的にはこれまでどおり、「濃色部」のレイヤーを削除して「淡色部」を補完した後、陰影を付け直しする というのが作業工程になっています。
修正が完了した状態の全体像(右図)がこんな感じになります。 別に気に成らなければそれで問題ないレベルでもあるかもしれないのですが、気になり始めると私の場合どうしようもなくなってしまうので、この場合はまぁ、ご容赦していただくということで。
キャプチャした画像は Adobe Photoshop4.01 のものです
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