No.09 上半身を描く
06 髪の毛を描く
 

 絵の中で、私が最も作家ごとに違いの出る部分ってのは、「髪の毛」じゃないかと思うほど、髪の毛の描き方は千差万別です。 簡単に仕上げてしまう方もいれば、丸々一日かけて丹念に描いていく方もいますが、やはり、膨大な本数の髪の毛をCG上でいかに表現していくかというのは永遠の課題なのかもしれません。
 私の場合、髪の毛はできるかぎりフワっとしたイメージが欲しくて、最初Photoshopで試行錯誤するもうまくいかず、Painterに逃げてしまったクチです。 えらそうなことは全然いえないんですが、私なりにフワフワっとした髪の毛を表現できていると自負しているので、その辺を説明していきます。


 Painterで描いた髪の毛は非常に繊細な線をかもし出しているのですが、いかんせん不透明度が低いのでそれを以下に補うのかがネックになります。偉そうなことを上で口走ってますがその実髪の毛のラインそのものはここではまったく修正せず、終始、髪の毛のマスク部分の製作を徹底していたりします。
 というわけで、髪の毛のレイヤーの下に「髪の毛 マスク」というレイヤーを新規作成します。


 頭皮にあたる部分を淡い青色と決定し、ブラシツール「」を用いて描画していきます。 ちゃっちゃかと塗っていって完成したのが左図ですね。 なんだかもうこれで完成してしまっているような錯覚を受けてしまいますが、これは背景が白だから目立たないだけです、実は。
 キャラクターの設定資料なんかで、背景が白と確定しているならまだしも、一応今回は背景も簡単に製作するつもりですので、マスクはしっかりと製作しなくてはなりません。
 ということで作業がしやすいように、「背景」レイヤーに補色に近い赤系の色を派手に塗ってみたのが下図になります。


 背景を赤にすると、ブラシツール「」で適当に描いているということが一目瞭然ですね。 この状態で完成にしてしまうと、なんともはや、怪しい髪の毛になってしまうので、これを綺麗に見えるように修正していかなくてはなりません。

 
ぼかしのフィルター(ガウスぼかしの場合)

 さて、その汚いブラシストロークを隠すために使うフィルターが「ぼかし」です。 うわ、そのまんまですね。 ぼかして誤魔化そうなんて(笑)。でも結構効果あるんです、本当に。
 「ぼかし」フィルターは、[フィルタ]メニューから[ぼかし]をポイントし、[ぼかし(ガウス)]を選択して行います。 この[ぼかし(ガウス)]のフィルターは、画面上でプレビューを見ながらどこまでもぼかしの範囲を規定できるので、非常に便利だったりします。
 [ぼかし(ガウス)]を選択して表示されるウィンドウが「右図」になります。 ここでは、ひとつのピクセルを半径5.4ピクセルにおいてぼかしの範囲を適応するという値にスライダーで指定して、[ OK ]をクリック、確定しています。


 ぼかしを適応して、はみ出た部分を消しゴムツール「」で修正したものが左図になります。 赤バックでも、何とかサマになっていると思いません? ぼかしをかけて、はみ出た部分を消しただけなのになかなか高性能ですよね。


 尚、上図で用いた消しゴムツール「」の設定を示したのが「左図」になります。 筆圧感知入力で不透明度にチェックを入れてあるところが重要ですね。こうすることで消しゴムツールの1ストロークで完全にマスクが消えてしまうことが無いので、作業がしやすくなります。

 ポニーテールの部分(っていうかこの子がポニーテールだって今始めて言ったような・・・)の陰影を前頭と区別するために、ポニーの部分の陰影を強調します。基本的にはエアブラシツール「」を用いますから、一旦「髪の毛 マスク」レイヤーの透明部分を保護します。
 エアブラシでの作業を完了したら再び編集するために透明部分の保護はカットするんですけどね。
 というわけで、その辺を修正してバックグラウンドの赤を消去したのが「左図」になります。

 
 当然のことですが、ポニーテールは肩より後ろにありますから、今のように上にかぶさっているのは非常に不自然です。とはいえ、レイヤーの順番の関係上、上下の位置関係を買えることは難しいため、ここでは消しゴムツール「」を用いて肩にかかっている部分を地道に消去していきます。 消しすぎると隙間ができてしまうし、はみ出ているとみっともないしで、なかなか神経を使うところではあります。しかも作業するレイヤーが「髪の毛 マスク」「ポニー 下地」「ポニー 詳細」の3枚ありますから、面倒臭さも3倍です。 この辺は今後の課題ですね。


 さて、マスクのほうは大体調整が完了しましたので、髪の毛の艶の描画に入ります。基本的には覆い焼きツール「」を用いて描画していくことになります。

 
 ポニーテールですから、それを留めておくための髪留めが必要になりますので、それを新規でレイヤーを作成して描画していきます。 レイヤーの場所としては、「髪の毛 下地」レイヤーより下、「ポニー 詳細」レイヤーの上になります。 作成したレイヤーの名前は「髪留め」にしておきましょう。
 先ずは、髪にかかっている部分を加味しつつ、簡単にブラシツール「」を用いて描画していきます。


 次に、前の髪の毛に隠れている部分を自然に見えなくするため、消しゴムツール「」でやんわりと削除していきます。 消しゴムツールの設定は、髪の毛を削除したときと同様、筆圧感知入力で不透明度を調整できるように設定して削除していきます。
 削除が完了したら「透明部分の保護」をセットして、後の作業に備えます。ここでのブラシ形状は「」が主ですね。




 形状の確定した髪留めに、エアブラシツール「」、覆い焼きツ−ル「」で陰影を追加していきます。描画したブラシの形状は「」が主です。

 
 耳にかかっている髪の毛をどのように表現するか・・・ですが、これは、透明部分の保護をカットした耳関連のレイヤーを、筆圧感知入力で不透明度が表現できる消しゴムツール「」を用いて直接アンテナを削除するという荒療治にでます。 レイヤーを順々に上へ重ねていくと、最終的に上位にあるレイヤーがやっぱり何かしらの犠牲になりますね。 耳に一部分だけ髪がかかっているような表現をするには、かなり荒っぽくてもこれが一番手っ取り早いと思います。


 アンテナによって隠れてしまった睫毛も、直接耳のレイヤー上に書き込むという、荒療治をやっています。 ここまでくると、完成系はJPEGだし。というなんとも悲しい理由で自分自身を納得させていますね、私は。
 ちなみに、髪の毛を編集している最中に、どうも耳の位置が気になってきたので、再度またしても、アンテナの位置を左右とも移動させています。




 最終的に、耳と肌との接合部の陰影や、髪の毛によって隠れている肌の部分の陰影等を追加して、顔周りはついに完成です。




全身像
ここまでのオリジナルサイズ画像(LZH圧縮)

 全身像は上図のようになります。 肌とメカの部分の彩色が終わっているので、かなりサマになっていると思うのですが、どうでしょう。
 一応ここで中間戦は終わりです。 今度はキャラクタに装飾したり武器を持たせたり背景を描写したり全体を調整したりと、今までと同じくらいの作業があるんですが、この講座、ちゃんとそこまで完成しているんでしょうかね?






キャプチャした画像は Adobe Photoshop4.01 のものです

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