No.12 影を描く
02 影を完成させる
 


 さて、この状態だと、影がくっきりはっきりしすぎていてなんだか不気味ですので、ボカシをかけて影らしくしていきます。ついでに、影ですから、体から離れれば離れるほど濃度が薄くなりますので、その辺も表現しておくことにしましょう。


 まず、影の根元(脚に接しているあたり)は比較的くっきりと、頭の部分はぼやけているような感じのボカシをかけるために、[ ぼかし(放射状) ]フィルターを用います。 このフィルターは、基準点から放射状にボカシを追加するもので、厳密にはちょっと違いますが、基準点がほとんどぼかせず、その拾遺から順にぼかしを適応していくという点で、最も近いのはこのフィルターでしょう。
 [ フィルター ] メニューから [ ぼかし ]をポイントし[ ぼかし(放射状)]をクリックすると、下図左側のウィンドウが表示されます。

 
 ぼかしの中心点を、前脚の手前あたりの場所に移動させ、量を「3」程度にしておきます。今回はこの「ぼかし(放射状)」フィルターをかけた後、「ぼかし(放射状)」フィルターをかけてしまうので、「ぼかし(放射状)」の品質は、最低画質の「ドラフト」で問題ないでしょう。
 補足:ぼかしの中心は、放射状にぼかす場合の中心点になります。中心の部分はボカシはゼロになります。 今回は量が「3」ですからわかりにくいですが、この量をふやすと、画面の放射の状態も変化して、放射の中心を核として、円を描くようになります。
 2つのぼかしを適応した状態が下図になります。
 補足:二つのボカシは同時に行うことはできません。画像容量の関係で省略していますが、実際は最初に放射状にボカシを入れた後、ガウスボカシを用いて描いています。放射状ボカシは「ドラフト」指定するとかなり汚くなりますが、ガウスでボカシしてしまいますので、結果としては殆ど気にならなくなると、そーゆー事ですね。


 足元がくっきり、頭の辺がボケた状態にフィルターがかかっているのがお分かりになりますでしょうか?

 銃がなんだか妙な陰影になってますが、キャプチャリングしたときにミスっただけなので大意はありません。


 さて、完成した影ですが、後に背景と合成する場合にしっくりと溶け込むように、透明度や色濃度などを指定する必要があります。 レイヤー単位での不透明度はスライダーで簡単に操作できますが、ことグラデーションを用いた透明度などを描こうとすると、今の状態では不可能ですので、この部分を「選択範囲」とすることができるように処理を行う必要があります。
 まず、選択範囲として指定するための前段階として、透明部分の保護(詳細を施した後、「白」で塗りつぶし(詳細を行います。 後、[ 選択範囲 ]メニューで、[ すべてを選択 ] を選択した後、画像をコピーしてクリップボードへ転送します。


 色濃度をそのまま選択範囲に変換することのできる機能として「チャンネル」機能があります。 このチャンネル機能、基本的にレイヤーなどと同等も扱えますが、チャンネルは色濃度の情報しかないので、当然コピーする画像はグレイスケールになります。
 さてここに、新規作成したチャンネル(真っ黒いページが作成される)を作成しておきます。ページの名前は何でも良いので、とりあえず標準で作られる「#4」をそのまま用いることにしましょうか。


 新規で作成したチャンネル「#4」に、先ほど「コピー」した白で塗りつぶしをしたレイヤーをペーストしたのが左図になります。 通常状態だと背景が白で塗った色も白だったので殆ど違いは分かりませんでしたが、黒ベースのチャンネルにコピーすると、はっきりと影として認識できるようになりますね。

 チャンネル上に作成されたこのイメージですが、このままの形状を選択範囲として用いることができるようになります。完全な白が100%の選択範囲、完全な黒が選択範囲無しで、その間127段階が、そのまま選択範囲の透明度として反映されることになります。 影という観点から見ると、黒白が反転しているようにも見えますが、選択範囲として用いますので、基本的にこれで問題はありません。


 チャンネル上の選択範囲をピクセル上に展開するための場所として新規に「影」レイヤーを作成しています。


 さてそれでは、作成した選択範囲を用いて実際に影を作成して見ます。
 選択範囲はチャンネルに保存されていますから、[ 選択範囲 ]メニューの[ 選択範囲の読み込み ]を選択します。 すると、下記のようなウィンドウが表示されるはずです。


 選択範囲の指定はチャンネルの「」をクリックしてプルダウンメニューのなかから任意の項目を選択することで行えます。今回は「#4」の名前で作成しましたから、#4を選択して[ OK ]をクリックします。


 作成された選択範囲が左図になります。 キャラクタの影の形で選択範囲うを示す点線が表示されているのはお分かりになりますでしょうか。 基本的に選択範囲は50%以上の部分を点線で表示していますので、必ずしも枠が最外周というわけではありませんが、ちゃんと選択範囲として指定されています。

補足:選択範囲の指定方法はほかにもあって、最も簡単なのは [ 選択範囲 ] メニューから [ 選択範囲を読み込み ]を選択して、プルダウンメニューに標準で表示されている「レイヤー名/透明部分」 を選択してから [ 選択範囲の反転 ]をさせるというものです。 ここでは講座仕立ての関係上、チャンネルを用いた方法を取り入れていますが、この辺は各自の好みで良いでしょうね。 私の場合は講座で説明した方法でやってますし。選択範囲を動的に「エアブラシツール」等で調整しようと思うと、チャンネルを用いる方法以外には無いと思います。


 ここに、ツールボックスでグラデーションツール「」を選択して、オプションを左図のように設定します。 グラデーションを「描画色から透明に」をプルダウンメニュー「」選択しておきます。他の設定は標準のままで(というか画面の設定ですが)行っています。


 グラデーションは、マウスをドラッグした時点が始点、そのままドロップして、マウスを話した時点が終点とする1ストロークで作成できます。  今回は、足元の一番下に時点が始点、完全なゼロ透過になると困るので、影よりも若干上方に終点を設けてグラデーションを作成しています。


 グラデーションを適応するとこんな感じになります。 最初に作成した陰影にあわせて、グラデーションで徐々に透明度の増す影がこれで完成しましたね。



銃を同様の手法で作成した状態の全身像です。









キャプチャした画像は Adobe Photoshop4.01 のものです

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