No.01 CGを描く前に
04 手描きの線の重要性
 
 CGにおいて大きく分かれるのは、手書きの線を活かすか否かという所にあります。 結論から言えば、私は下書きで描いたラインをCG上ではまったく用いません。 スキャナで取り込んだラインは、その上からペイント系のソフトでなぞってトレースするのに用いますが、言ってしまえば用途はそれだけであって、途中から下書きの線は全く見ずに描画しています。 ですから当然ここの講座でも下書きのラインを完成原稿まで用いることはありませんが、別に下書きのラインを用いることを否定しているのではないことをここで述べておきます。
 トレース台やトレーシングペーパーを用いて、下書きのラインをトレスしなおしして、それをCGの完成原稿に用いるという方も多いですし、この手法には手法なりの利点はあると思っています。
 一応、下記にそれぞれの利点と欠点を書き上げてみたので参照してください。

手法
利点
欠点
下書きを用いる・パソコン上でトレスしなおす手間が省ける
・複雑な絵柄を描く場合、パソコン上で描画するより早く描ける(場合が多い)
・紙の上の汚れを取るのが厄介
・線を綺麗にトレスしていないと、完成原稿が汚く見える
下書きを用いない・取り込みに比べて、ラインが綺麗に描ける
・修正が容易
・パソコン上での作業に馴れが必要
表1:手法別の利点と欠点

 かなり個人的な偏見も入ってますが、どうも私が見る限りそうとしか思えない絵も何作品か見てきています。 手書きでしかどうしても表現できないような繊細なラインを用いてCGに起こすというのなら、手書きの線を取り込んで用いることは全く問題ないと思いますし、むしろそうすべきでしょう。 が、時間的な労力を惜しんだり、言い方は悪いですが手抜きで下書きの線をそのまま用いて描くというのは、私は賛成しかねます。
 そもそも、下書きの線をスキャナで取り込むと、どうしても紙の上で描いた場合の汚れや紙の色ムラなども取り込まれてしまいます。 ある程度はソフトウェアの補完機能(レベル補正等)で修正が利くものの、やはり最後の汚れ取りは手作業になってしまいます。 どうしてもその辺の労力を考えたら、私としては取り込んだ後にパソコン上でトレスしなおししたほうが結果として楽なんじゃないかな・・・とか思ってしまうわけです。 ・・・まぁもっとも、私の絵は見てのとおりラインが単純ですから、トレスしやすいということもあるわけで、その辺を突っ込まれると何もいえないのですが。
 まぁ、下書きを用いるにしろそうでないにしろ、作品全体の作業のスパンで考えるとそれほどウェイトを占めるものでもないので、それぞれが考えてやればよいことだと思います。


 
図1:下書きをCGに用いた作品例
(少し古い絵ですが、下書きを用いたのはこの作品しかないので。
尚、トレス台で下絵を清書して取り込んでいます)


ちなみにメカのラインに関しては、少なくとも私はパスを用いるので、下書きは思いっきりいいかげんです。 これはこれで問題という気もするんですが。



 
図2:下書きの重要性
(少なくとも私にはこの程度)


 ただ、メカの場合は、これは実際の講座の中でも述べますが、下書きで描いたラインは所詮下書きであって、完成原稿のラインを忠実に守っているとは限らないというところがあります。 もともとベクトルラインを描くのに、手書きで描いた線をなぞっていてはしょうがないわけでして、「この辺にこのパーツがくる・・・かな?」といった概要を伝えていればそれで十分というのが私の考えです。

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