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さて、ここまでかなりいいかげんに書いてきましたけど、タブレットの回くらいはしっかりと書いておきましょうか。
CGは知識で描けるってのが私の持論ですが(っていうか私自身が知識だけで描いているので)、そのなかで唯一、「技術」と呼べる物が介在する部分があるとしたら、それは「タブレット」でしょう。
タブレットは、マウスに代表される「縦軸」「横軸」の座標位置に加え、「筆圧感知」と「傾き検知(機種が限られますが)」の情報をパソコンで扱えるようにすることで、よりリアリティのある手書き感を出すことが可能になるハードウェアです。 もともとはCADなんかの精密作業や一部のヲタクが使用していた物で一般知名度はかなり低かったのですが、ここ数年のパソコンブームで、タブレットも社会的地位を確立できて来たなと思います。 現在のCG描画には不可欠なハードであるといっても過言ではないでしょうね。
さてこのタブレット、こういった数々の情報をパソコン上に送り込むために、スケッチブックとペンのようなパーツがセットになっています。 タブレットの検知範囲内で付属のペンを走らせるとマウスカーソルが動作するわけなのですが、作業をするのは手元のタブレットで、描画するのは画面ですので、その間には当然差異が発生します。 タブレットが初心者に対して若干厳しいと思える部分があるのはこの辺で、実際に画面上に絵を描く場合に、手元を一切見ませんので、なれないと線がぐっちゃぐちゃになることもありえるわけです。
しかしとはいっても、すでに手と目を合わせずに作業をするということはキーボードやマウスで無意識のうちに練習しているところもあるので、すぐに慣れてしまうというのも確かです。 最初の1〜2週間はそれでも違和感を覚えるらしいですが、それを超えてしまえばあとは、ひたすら自分の感性に任せてペンを走らせれば画面上にそれがリアルタイムに再現されていきます。 何事も慣れでして、その部分に「技術」の介入する部分があるのかもしれません。
さてそのタブレットですが、実際ペイントツールは「Photoshop」と定めていますがタブレットは一切定めていません。 これは当然のことで、数あるタブレットの殆どどれを使っても私の出している効果を発揮できるからなのですが、その発揮度合い・・・というか、使いやすさにはタブレットの性能によって左右されるところはあります。
一般的にタブレットは「見えないスペック」が結構重要で、カタログスペックで「筆圧感知レベル512段階」だとか「傾き検知±60度」なんてのは、カタログを見れば確認できてしまうわけですよね。 ただ、いざペンを走らせて見たときの検知のムラや反応速度、さらに使い込んでくるとペン先の磨耗度合いなんてのも、カタログスペックと同等かそれ以上に重要になってくるんですが、この辺は使ってみないとわからない部分でもあるのは確かです。
別に会社から何か貰ってるわけではないですが(笑)、タブレットをこういった統合スペックで推し量るなら、やはり「WACOM社」の製品をお勧めします。 業界のデファクトスタンダードということもありますが、やはり売れているにはそれなりに理由がありますし、なによりラインナップが豊富ですから、自分に合わせたものを選べますしね。
ここではペンを走らせることのできる範囲を「検知範囲」と呼んでいますが、この検知範囲も値段によってさまざまで、はがきサイズのA6からプロフェッショナルユースのA3まであったりします。 実際知人などの話を統括してみてみると、このなかでゆとりを持って描画できるタブレットサイズということになると、やはり「A5」サイズになるようです。 入門機としてとか、それほど枚数を描かないというのであれば、A6クラスで十分ですし、値段も1万くらいと手ごろなんですが、使い込んでくると細かい作業が難しくなってくるということはありますので。 ただ、A5サイズになるとA6サイズに比べてかなり値段が張るのは確かで、変動していますからここで値段を書くのは避けますが、単純に3倍以上の値段の開きがあります。 安価なモデルは1万程度で買えますから、そう考えるとかなりの出費差なのも確かです。
この辺は自分の使用頻度と使いやすさなどを加味して選んでいくしかないのが実情ですね。
あと、タブレットには「筆圧感知」「傾き検知」があるというのは先ほど話しましたが、その中で前者は必須ですが、後者はそれほど重要ではないと考えてください。 無論あるに越したことはないですが、傾き検知は「エアブラシなどを特定の方向から入れる」などの特殊な効果を出すときくらいにしか使いませんので、実のところ無くても殆ど困りません。
大体、普及版のA6サイズタブレットには傾き検知機能はついて来ず、1ランク上のタブレットから搭載されているんですが「そうか、傾き検知が無いならしょうがない、1ランク上を買うか」というような、購入対象になるほど使うことはまず、無いですので(笑)、購入時には参考程度にとどめておいて問題ないと思います。 無論、傾き検知機能が無いと再現するのが難しい効果もありますので、その辺の高度な技術をタブレットで再現するのであれば必要になりますが、まぁそういった方はここにわざわざ見にくることも無いでしょうし(ここでは傾き検知は使っていませんので)、ここでは「参考程度」と言い切らせてもらいます。
さて、WACOM社からはA6サイズタブレットのWACOM−FAVO と、A6からA3までのラインナップのそろっているWACOM-intuos の2種類がありまして、 入門機は前者になります。 FAVOはカラーも豊富ですし(まぁ、使うときには何色でもかまわないんですけどね)、値段もなかなか良心的です。
一方のintuosは値段がかなり張りますので、この辺はカタログやホームページを参照する以外にはありません。 とはいえ一応、A6サイズで十分だという判断をするのであれば、 intuosよりも FAVOをお勧めすることを書き足しておきます。 intuosには特殊ブラシとして様々なブラシがオプションで販売されていまして、その辺のブラシをどうしても使いたいとか、傾き検知がどうしても必要というのであればしょうがないですが、そういったことが無いのであれば、前者と後者にはそれほど明確な差が無いため、どうしても割高感が否めないからです。 読み取り精度が違ったり、筆圧入力の段階が違ったりはしますけど、実際問題、その辺は全然気になりませんので、浮いた値段でソフトを一本購入するほうがコストパフォーマンスもあがりますしね。
補足1:筆圧感知能力も年々上がってきていて、廉価版のFAVOでも512段階、intuosなんかは1024段階に切り替わったりします。 実際、色は各色255段階で画面上に描画されるわけですから、256段階以上いらないじゃん・・・とか思っていたんですが、実際にはソフトウェアのほうが色相と彩度、明度などからさらに細かく分けているという話を聞いたので、512段階くらいあると確かに便利なのかなぁ・・・と最近思い始めてはきました。 とはいえ、依然使っていた WACOM ArtPad2 なんかは128段階でしたけど全然使用に困らなかったわけですから、その辺は気休めなのかもしれません。 実際、FAVOとinsuosの感度の差は倍ありますが、別に強弱が倍になるわけではないので補足しておきます。
補足2:見えないスペックの中に、「立ち上がり」「立ち下り」に関する性能もあります。 ようは、検知範囲にどれだけの力を加えるとレベルとして認知されるかの度合いですが、この辺はさすがはWACOM、他社製の同価格帯タブレットに比べてもかなり性能は高いようです。 ペンのタッチ感覚はソフトウェア側で操作できるので別にそれほど気にすること無いかもしれませんが、撫でるような筆の動きを自然に感知させようと思ったら、やはり精度は高いほうが良いに越したことはありません。 当然FAVOよりintuosのほうがその辺の性能は高いですので、こだわりを持つならintuosなのかもしれませんが、実際FAVOを触ってみてもその違いは私では殆ど区別できなかったので、やっぱり気休めなのかもしれませんね。 というより、撫でるような表現なんてのは、手ぶれの範疇が入ってきますからかなり曖昧ですから・・・。
補足3:検知制度なんかもやっぱりFAVOよりintuosのほうが高いのですが、これこそまさに手ぶれの範疇なんですよね。 ただ、タブレットのサイズが倍になれば当然腕を動かす範囲が増えて、それだけ情報量も増えますから、手ぶれは軽減されます。 「サイズを大きくしたら手ぶれが無くなった」なんてのは、FAVOからintuosに乗り換えたからではなく、単純にタブレットの検知範囲が広がったから・・・だけなんですよね。 どっちにしろ、A6以上のサイズはWACOMではintuosにしかありませんので、その辺を正確に測定するのは無理なのでしょう。 っていうかやっぱり手ぶれの範疇ですよ。
補足4:接続なんですが、今はやはり主流はUSBですよね。 私はシリアルバス接続のタブレットを使っていますが、使用中にケーブルが抜けたりしたら文句なしに再起動ですので、その辺を考えるとUSBはかなりお勧めです。 USBケーブルから電源も供給されますから、別途ACアダプターを必要としない(シリアルモデルには必要なんです)ですから、電源周りの取り回しも楽ですし。 抜き差しできますから自由度も高いですしね。USBポートがあって、OSが対応しているのであれば、USB接続はかなりお勧めですね。 値段も変わらないはずだし。
補足5:なお、FAVOを買って将来intuosに買えた場合なんかで、FAVOのペンとintuosのペンとは互いに互換性が無いので、再利用はまったくできません。
補足6:今でも稀にあるようですが、ごく安価なタブレットの場合、本体とペンがケーブルでつながっているなんてのも、まだ売っているみたいです。 まぁ、本体とくっついていればペンがなくなる心配は無いというメリットもあるんですが、これがまた使い始めると邪魔で邪魔で・・・ケーブルの取り回しを考えないと長時間使ってくるうちに手にケーブルが絡み付いてきますので、見つけても安いからって安易に買わないほうが身のためです。 さらに言うと電話のコードみたいにカールしていて収納しやすいのもあったんですが、コレなんかはもう、ケーブルに「戻る力」が働きますから、どうしようもなく使い物になりません。 昔々、SHA○Pの書院とかいうワープロに搭載されていましたが・・・。
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